家庭での学習方法のひとつに、リビング学習を取り入れている人が増えていますが、言葉は聞いたことはあるけれど、どのような効果があるのでしょうか。
そこで、リビング学習のメリットとデメリット、そしてメリットを最大限に生かす注意点についてご紹介したいと思います。
リビング学習のメリット
子供部屋があるかどうかに限らず、家族が集まるリビングで行うリビング学習にはどんなメリットがあるのでしょうか。期待できる効果は以下の4つです。
- 親が近くにいるので安心する
- 適度な緊張感で集中できる
- 分からない時にすぐに質問できる
- 勉強しているかどうかチェックできる
ひとつずつ見ていきましょう。
親が近くにいるので安心する
家族が集まる場所なので、安心感が得られるというのがリビング学習の特徴のひとつです。
子供部屋で勉強する場合、個室に入って一人で勉強するのに対して、リビングなら家族の誰かが近くにいるので安心できるというメリットがあります。
誰かがいると安心できますし、それが一番信頼できる親ならもっと安心するのではないでしょうか。
適度な緊張感で集中できる
誰かがいるということは、勉強している時に遊んではいけないと無言のプレッシャーを感じるので、親がいることで緊張感を持って集中することが可能。
一人なら、ちょっとだけ漫画を読むことや、10分だけと時間を決めてゲームをやり始めることも多々ありますが、ちょっとだけと言うのはあってないようなもの。
でも、親がいるといないのとでは大違いですよね。怒られないようにという気持ちも働くので、集中して取り組むことができるのです。
分からない時にすぐに質問できる
分からない問題に直面すると答えに辿り着けず、嫌になってしまうものです。嫌な気持ちはやる気を下げてしまいます。
そのやる気をキープするか下げるかは、ヒントの有無にかかっているのです。動かずにその場で質問できて、答えが分かったら次の問題のやる気にもつながります。
分からない時に聞けるというのが、リビング学習の大きなポイントです。
勉強しているかどうかチェックできる
リビングで学習すると、子供は安心感が得られ集中できます。そしてちょっとしたことでも質問できるので飽きずに進めることができるというメリットがあります。
親側のメリットとしては、見える場所にいるので、勉強しているかどうかチェックできるというのも大きなポイントです。
子供部屋で勉強していると、ちゃんと勉強をしているかどうかは、見に行かないと分かりません。リビングなら一生懸命勉強している姿が見えるので、安心につながります。
リビング学習のデメリット
リビング学習は子供と親の両方にメリットがあることが分かりました。でもメリットがあるということは当然デメリットも存在します。どのような点に問題があるのでしょうか。
消しゴムのゴミが出てしまう
リビング学習の最大の難点は、消しゴムのカスが出てしまうことです。食事をするダイニングテーブルで勉強する家庭も多いので、拭き取っても取り切れない消しゴムのカスは難敵です。
子供に片付けさせても親が最終的に掃除をしなければきれいにならないので、後片付けの必要があるというのは、面倒な作業といえます。
食事の支度に支障が出る
子供が一生懸命取り組んでいる姿を見ると応援したいものですが、もっとやりたいと時間を延長すると、食事の支度に支障が出てしまうこともあります。
テーブルに作ったおかずを置きたくても置けない。
質問をして問題を解く楽しさが分かると、あれもこれもと質問が増え、食事の準備にも取り掛かれないことも。子供の勉強を優先させるか、それとも家族の食事を優先させるかは迷う部分です。
開放感があるので刺激が多い
リビング学習は、すぐに勉強することができますが、その分刺激も多いという点に注意しなければいけません。
荷物の受け渡しで訪れるインターフォンの音や、親が家事をしている姿も気になってしまうことも。動きや変化を察知しやすいので、リビング学習をする際には、刺激をなるべく減らす努力も必要です。
リビング学習をする時の注意点
リビング学習のメリットとデメリットを踏まえた上で、どんな点に注意したら家庭学習が定着化するのでしょうか。
テレビはつけない
リビングにあるテレビは、見ていなくても常につけっぱなしという家庭もあります。そこで、リビング学習をする時だけでもテレビを消して刺激を減らしましょう。
子供が帰ってきたらすぐに消すことを習慣化させれば「なんで消すの?」ということにはなりません。
子供が自主的にテレビを消して勉強するのは難しいので、勉強する前の環境づくりのひとつとしてテレビを消すタイミングを意識してみましょう。
適度な距離を保つ
子供は帰ってきてからすぐに宿題をやる子と、少しゆっくりしてからやりたい子がいます。すぐにやらせたい気持ちはありますが、自主的に宿題の道具を持ってリビングに来るまで見守ります。
そこで、やり始めたら動き過ぎず、適度な距離を保ちましょう。
正面に座らない
リビング学習で気をつけたいのが座る位置です。子供の正面に座ると、会話や質問が多くなるので宿題や勉強に集中できません。
いつも座る位置が子供の前でも、リビング学習をする時には正面を避けて座るようにしましょう。
干渉し過ぎない
リビング学習は子供が勉強している姿が見えるので、子供の質問から派生して雑談も増えてしまいます。そして、ノートに書いている様子を見るとついつい「こうやったら?」と口を出してしまいたくなりますが、干渉されるとやる気も下がってしまうので極力控えます。
さらに、消しゴムのカスを見ると「掃除が大変」という気持ちも芽生えますが、子供に任せてあれもこれも言わないようにするのがポイントです。
注意しない
リビング学習をしていると、子供がどんな風に勉強しているのか見えてしまうので、注意する場面も増えてしまうものです。
良かれと思って注意したことでも、子供のやる気を下げてしまうことになるので、すぐに注意しない。終わってから伝えるなど、伝える方法やタイミングを見極めることも重要です。
干渉し過ぎない、そして注意もほどほどを意識するとリビング学習の効率が上がります。
リビング学習に対する実態
リビング学習のメリットとデメリット、そしてリビング学習をする時の注意点について見てきましたが、実際にリビング学習をしている人はどのように感じているのでしょうか。
家具メーカーの大手、カリモク家具はリビング学習の実態についてアンケート調査を行いました。
参考:カリモク家具
リビング学習に対する満足度
リビング学習は実際にやってみないと、合っているのかどうか分かりません。気になる満足度は、良かったと答えた人が全体の92%に及ぶことが分かりました。
あまり良くなかったと答えた人は、全体の7%ですが、全く良くなかったと答えたのは0%であることを見ると、何かしらの効果が実感できたようです。
- とても良かった:43%
- まあ 良かった:49%
- あまり良くなかった:7%
- 全く良くなかった:0%
- 不明:1%
リビング学習は何年生まで?
リビング学習を取り入れて良かったという意見が多い中、いつまで続けていいのかという疑問も残ります。カリモク家具の調査によると、リビング学習は何年生まで行ったかという質問に対して、以下のような結果になりました。
- 小学校入学前:9%
- 小学校1年生:3%
- 小学校2年生:5%
- 小学校3年生:11%
- 小学校4年生:13%
- 小学校5年生:6%
- 小学校6年生:30%
- 中学生:15%
- 高校生:7%
- 不明:1%
回答が多い学年はというと、小学校4年生と小学校6年生ですが、低学年で終わらせた子もいれば、中学、高校まで続けた家庭もあります。
家庭学習の定着化ができることをひとつのゴールにしてもいいですし、塾に通い生活時間が変わることをきっかけにリビング学習を終了するという方法もあります。
リビング学習から一人で学習するスタイルに切り替える時期は家族で話し合って慎重に判断しましょう。
リビング学習は環境づくりが大事
リビング学習は勉強する場となるリビングが整理されていないと意味がありません。子供が興味を示すようなおもちゃは、見えないように整理するなど事前の準備も必要です。
小学校に入学したらリビング学習をはじめるのか、それとも入学前に勉強の練習としてリビングで遊ぶ機会を増やすなど、導入に向けての準備も考えなければいけません。
リビング学習を考えているなら、リビング周りを整理整頓することからはじめてみましょう。
まとめ
リビングは家族が集う場所ですが、子供が勉強する場所としても最適です。子供が安心して勉強しつつ、親子のコミュニケーションが取れるよう、レイアウトにも着目し模様替えしてみてはいかがでしょうか。気分が変わって、「ここで勉強したい!」という良い導入になるかもしれません。