生活の中で必要不可欠なものはたくさんありますが、実はその中に人工知能を搭載したものがたくさんあるというのをご存じですか?ここでは、生活の中にすでに活用している人工知能を使った例をご紹介したいと思います。
人工知能とは
人工知能とは、artificial intelligence の頭文字を取ったもので、コンピュータを使って今までなかった世界を人工的に作り上げていきます。
人工知能ができるものはというと、識別、予測、実効の3つの領域で、さらにそれらの3つは以下のように細分化されます。
参考:総務省「人工知能(AI)の現状と未来」
人工知能については、定義も含めて現在も研究がすすめられていますが、すでに生活の中に人工知能を使ったものが導入され活用されています。どのようなものに人工知能が搭載されているのでしょうか。
家電
人工知能が搭載されたものをイメージする中で一番身近なのが家電です。そこで、AI家電と呼ばれるものについて見ていきましょう。
冷蔵庫
生活の中にはなくてはならない冷蔵庫ですが、最新の冷蔵庫にはAIが搭載されており、従来の冷蔵庫ではできなかったことができるようになっています。
例えば、外出先からアプリのカメラを通して冷蔵庫の中をチェックすることができる機能や、開閉のパターンなどを解析して適切な時間に食事のメニューを提供してくれる便利な機能などがあります。
メーカーによって、これらの機能は変わってきますが、外出先でもできることが増えると時間の節約につながり、
オーブンレンジ
AIができるもののひとつに音声認識があります。この機能を活用したのがオーブンレンジです。対話型で相談ができるので冷蔵庫にある食材や体の状態などを話しかけると、複数のメニューを提案してくれます。
オーブン調理は、重さや調理内容によって加熱時間を計算するのが面倒ですが、おまかせ調理機能もプラスされているので迷うことがありません。
また、使えば使うほど、味の好みを学習していくのは、従来のオーブンレンジにない機能です。
エアコン
熱中症予防や暑い夏を乗り切るためになくてはならないエアコンですが、ちょうど良い温度設定にするのは意外と難しいものです。そんな室内の快適さにこだわって開発されているものもあります。従来はリモコンを使って温度調節していたものを、WiFiに接続しAIが自動制御することで快適な温度設定を学習していきます。
また、人がいない時間帯も検知し、スマホのアプリと連動させ節電を考慮しながらエアコンをつける提案をメッセージとして送信する機能もついています。
エアコンをつけたけど少し寒いということや、帰る前に部屋を涼しくしておこうということが簡単にできるのです。
ロボット掃除機
掃除機も毎日の生活になくてはならない必需品ですが、毎日掃除するのも大変ですし、出し入れに片付けと手間がかかります。そんな家事の中でも大変なものに着目したのが家庭用のロボット掃除機です。
電源を入れておけば、内蔵されているセンサーやカメラで段差や壁、端を検知しながら隅々まできれいに掃除してくれます。
何もしなくても、定期的にお掃除してくれますし手に入りやすい価格設定のものも増えているため、注目されています。
スマートフォン
スマートフォンも毎日の生活になくてはならないもののひとつ。アラームで起きて、スケジュールを確認し、気になることは検索し天気や乗換案内など活用している人も多いのではないでしょうか。
スマートフォンは、画像と音声認識に言語解析、さらに多様なアプリケーションをインストールすれば、勉強にレストランの予約、株取引に音楽や動画の視聴などやりたいことを実現することができます。
スマートフォンを使う際、人工知能が使われていることを意識してみると、利便性が再確認できるのではないでしょうか。
家庭用ロボット
次は、少し違った視点で家庭用ロボットについてご紹介したいと思います。
家庭用ロボットは目的に応じてさらに細分化され、対象者を選ばないものや、高齢者や介護施設向け、そして子供向けや学習用と多様化しています。どんなものがあるのか、ひとつずつ見ていきましょう。
LOVOT(らぼっと)
ペット型ロボットとして開発されたLOVOTは、丸みのあるフォルムで2足歩行ができ、一緒に暮らせる家庭用ロボットして注目を集めています。
ペットなので会話はできませんが、目と鳴き声、そして行動で癒しを与えてくれます。話しかけると目や鳴き声で反応するので、子供から高齢者まで幅広い世代におすすめです。
- サイズ:幅280mm×高さ430mm×奥行260mm
- 重さ:約4.2kg
- 本体価格: 299,800円(税別)(一括 or 分割払い)
- 月額サービス料:12,980円
ロボホン
ロボホンとは、ロボットとスマートフォンの良いところを掛け合わせた新しいロボットです。電話やカメラ、インターネット検索などの基本機能の他、SNS・エンターテイメント・コミュニケーション・ライフスタイル・ヘルスケア・学習などのアプリが充実しているので、インストールして楽しむことができます。
これらのアプリケーションは、ロボホンと対話しながら楽しめるので、一人で操作するスマートフォンと違い、コミュニケーションを取りながら遊べます。
- サイズ:19.8cm
- 重さ:約360g
- 本体価格:86,900円(税込)(一括 or 分割払い)
夢ねこ プレミアム
アニマルセラピーという言葉があるように、動物とのふれあいはさまざまな効果が期待できます。そんな状態を提供できるのが、動物の形をしたロボットです。こちらのロボットは猫のフォルムを忠実に再現し、なでてあげると喜ぶ姿が癒しに繋がるといわれています。
あたまやほっぺ(左右)・背中・おなか・おしりにセンサーが内蔵されています。
- サイズ:210mm×340mm×360mm
- 単二電池3本使用
- 連続使用時間:4時間
- 参考価格:17,600円
もっとなかよしRobi Jr.
子供用におすすめなのが、こちらのRobi Jr.です。たくさん話しかけて会話をすると、それらを学習し仲良し度がUPしていきます。さらに、クイズやダンス、占いなど子供たちが喜ぶコンテンツが充実しているので、絵本や図鑑といった自ら学んでいくものと違い双方向で会話しながら学ぶことができます。
- サイズ:幅200mm×高さ200mm×奥行170mm
- 重さ:560g
- 単四電池4本使用
- 参考価格:15,000円(税別)
AKA(エーケーエー) / Musio X
こちらのロボットは、英会話の勉強用に開発されたロボットです。対話する相手の顔と声を認識するので、会話をしながら自然と英語でコミュニケーションが取れるようになるというものです。
家庭用ロボットは対象者によってできる内容を変え利便性を追求しています。今後はもっと、対象者が細分化されできることが増えていくかもしれません。
- サイズ:28.99cm x 24.79cm x 21.99cm
- 重さ:2.6kg
- 参考価格:81,580円
検索エンジン
パソコンやスマートフォンで調べ物をする時、キーワードを入力したのに意図したものが出てこなかったという例があります。これは、検索するユーザーの意図が汲み取られず最適化されていなかったためです。
検索する際には、人工知能がビッグデータと呼ばれる膨大なページを独自のルールで整理し、適切に表示させるように適正化が行われています。。
これも人工知能が日々行っており、検索の進化により利便性が高くなったと感じている人も多いのではないでしょうか。
自動車の自動操縦
人が運転するのが大前提の車ですが、その自動車の自動運転にもAIが導入され現在も研究が続けられ、完全無人の自動運転に向けてすすめられています。
自動車の自動運転が実現できれば、ドライバーの操作ミスによる事故が大幅に減り、渋滞の緩和に伴い排気ガスの減少など、さまざまなメリットが期待できます。
自動運転の技術は完全無人のレベル5まで技術レベルが設定されています。現在はレベル2とされ、レベル5までの道のりはありますが、自動運転の実現は社会に大きな影響を与えることになるでしょう。
ビジネスにおける活用事例
生活の中には家電やスマートフォン、そして検索機能など実際に人工知能が搭載され、すでに使用しているものがたくさんあることが分かりました。
ここからは、ビジネスの中でどのように活用されているのか見ていきたいと思います。
株価予測
人工知能は株価予想という分野でも活用されています。それは、膨大な銘柄と過去の株価をデータ化し、データを元に分析し予測をしていくものです。人工知能は学習を繰り返していくため、これらの作業を積み重ねれば積み重ねるほど制度が高くなります。
この人工知能を利用した株価予想は、アプリとして実際に活用されています。
SNSでの感情分析
小学生でも使いこなすSNSは、企業の課題分析や状況を把握するツールのひとつとして重要視されています。なかでも、文字やスタンプで表現された感情を人工知能が分析し商品開発や改善に活用されているのです。
数の膨大さを考えると人の手で作業することは不可能です。そんなインターネットやSNSが普及している時代だからこそ、人工知能が感情分析として活用されています。
コールセンターでのオペレーションサポート
スマートフォンの利便性が高まり、検索して情報がすぐに取り出せるようになると、行動に移すスピードも変わってくるものです。
電話で問い合わせをした際、最初に聞きたい内容に応じて番号を押した経験がある人も多いのではないでしょうか。最終的にオペレーターが対応するにしても、入り口で振り分けることで効率化が図れます。
これも人工知能の技術が応用されています。
問い合わせの段階で振り分けが行われ、次にオペレーターと会話する段階では、どんな内容の問い合わせなのか、それともクレームなのか見当がつきません。
確認のため、保留にすると相手も不信感をいだくことになりますし、問い合わせをしている人すべてに対応することができません。
どんな質問が来ても対応できるよう、あらかじめ人工知能が分析したFAQツールが用意され、キーワードを検索することで回答例が出てくるという仕組みも取り入れられています。
また、実際にオペレーターが対応しても簡易なものもあるため、自己解決できるように、想定される質問を人工知能が対応するチャットボットを取り入れる企業も増えてきました。
このチャットボットは無人と有人タイプの2種類あり、どちらもオペレーターにつなぎ対応するより効率化が図れます。
人工知能にできることとできないこと
人工知能は、すでに生活の中に活用され改めて見てみると、人工知能がない時代とでは明らかに生活の利便性が向上していることが分かります。
「生活が便利になるなら、いろんな分野に人工知能を応用したらいいのでは?」と思うかもしれませんが、人工知能にはできることとできないことがあります。
人工知能にできることは上記で紹介した3つの領域です。
人工知能ができないことは、感情を読み取った行動や判断、そして0から新しいものを生み出すような思考はできません。
つまり、人工知能ができないことは引き続き人間が試行錯誤を繰り返し、人工知能ができることは移行していくことが予想されるのです。
人工知能が望まれる分野
総務省が調査している情報通信白書では、有識者にアンケートをとり、今後人工知能が望まれる分野について公表しています。
結果としては漠然としていますが、その領域は以下のようになります。
- 生体情報や生活習慣、病歴、遺伝等と連動した、健康状態や病気発症の予兆の高度な診断
- 路線バスやタクシー等の高度な自動運転
- 渋滞情報や患者受入可能な診療科情報等と連動した、緊急車両の最適搬送ルートの高度な設定
- 道路や鉄道などの混雑状況等と連動した、交通手段間での高度な利用者融通や増発対応
- 監視カメラ映像や不審者目撃情報等と連動した、犯罪発生の予兆の高度な分析
- 高度かつリアルタイムの需要予測や製造管理等によるサプライチェーンの最適化
- 未知のサイバー攻撃や内部犯行等による不正アクセスや、不正送金などの金融犯罪の高度な検知
- 高度な意味理解や感情認識等によるコンピュータと人間の対話の高度化
- 利用者の嗜好やメールの履歴、発信元等と連動した、迷惑メールの高度かつ自動的な削除
- 市場の値動き等と連動した、金融資産の高度かつ自動的な運用による利回りの最大化
- 信用供与先の財務状況等と連動した、最適な融資額の算定による貸倒れ損失の回避
- 優良顧客の優遇や感動体験の付与、需給に見合う価格設定等による、顧客の囲い込みや満足度向上
- その他
- 特に活用が望ましい分野はない
引用:総務省「人工知能(AI)の現状と未来」
この結果を見ると、具体的に活用できる場面が想像できるものと、どのように運用すべきか整理するという準備段階を踏まなければいけないものがあることが分かります。
人工知能が導入されると効率化が図れるという一方で、効率化が図れたのなら人が携わる意味がなくなってしまいます。
ということは、人工知能の普及によりなくなってしまう職業もあるということを頭に入れておかなければいけません。
まとめ
人工知能は日常生活の中に溶け込み、知らず知らずのうちに利用しているものもたくさんあります。今後ますます人工知能の普及が見込まれますが、便利になる分、職業の選択肢は狭まってしまうかもしれません。人工知能と社会、そして人間とが共存する時代はどのようになっているのでしょうか。